<2002.6.1>  未知の渓にて

・・・・・ 晴れ ・・・・・

暗い淵底で グネ々ともがく影  ”オイ いい形だぞ!”  腰を下ろし竿をためる釣友に声を掛ける。

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<手付かずの自然林を流れ下る渓>

目的の渓での釣を終えて 下見へと始めて寄った流に 人影を水面に映すのを嫌い這いつくばり見下ろす

其処には 幾つかの良形岩魚の影”オイ 々 居るよ 居る!”色めき出す五人の視線に 木々の枝葉にと

覆われた暗い下流へと覗き込むとそこは 足元の藪下からスッパリ切れ込み 底に見える ワク 々させる

ような渓相へと視線はくぎ付けに・・・・・・どのように攻めるかが思案のしどころと成り 若干谷に沿って下り

攻め上がる事とし 竿をロープに持ち替えてのサポート役に回る事に成る。   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



深さ1.5m程の小さな淵にて それは起きた!  下手より振る釣友の竿へと来た 8〜9寸ばかりの岩魚を

取り込まんと水際に寄った釣友の手元で ”バシャッ” と水面を割った主は 黒っぽい体側に白点を散らす

40センチを超えているかの姿を 私の視線はしっかり捕らえていた  唖然とした表情で見合わせる顔と顔

少し濁りの入る淵底を じっと見据えるとそこには ユラ 々 と蠢く信じられない位の魚影が ・・・・・・・・?

姿の見える魚は中々喰わないと言うが? 何度誘いを掛けても見向きもされなかった  そしてすぐ上手に

現れた ここでならと思われるポイントにて 一発で来た大物を取り逃がすと言うおまけも付いてしまった。

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手付かずの自然林の残る渓へと向い 遅めの昼食

とし 緑の息遣いをつまみに 幸福な時間を過ごす

山で飲む酒は何でこんなに美味いんだろう。

瀬音の子守唄を聞きながらの昼寝に 時の経過も

忘れる・・・。

そんな中 まだ雪渓の残る上流部へと釣り上がり

良形岩魚を持ち帰ったのは 同行の若い仲間だった

若い釣師の熱意とやる気は 見ていて羨ましく

眩しい。

・・・・・・・・・私にも確かそんな時期が 有ったような気がする もう今は只の酔っ払い親父だが。・・・・・・・・・・

                                              QQZEKI